暗く深い坑道の奥に、緋色の鉱脈がひっそりと眠り、不穏な気配を漂わせている。
忘れられた禁域の奥深くには隠された真相が眠り、異変した怪物たちが冒険者の到来を待ち受ける。
新たな高原エリアが探索を待っている。次回はここへ向かう——未採掘の鉱洞。
未採掘の鉱洞
バハマール高原で起きた幻花晶事件により、長らく沈黙していた「シスレザー鉱山」に再び注目が集まった。冒険者による調査が進むにつれ、鉱山の内情が明らかになり、黒磊兵団の行状も次第に露見していく。
この醜聞は公国上層部を揺るがし、表向きの粛清命令はすでに下されている。だが地下では採掘の手が止まることはなかった。それどころか黒磊兵団は鉱員たちにより危険な区域「未採掘の鉱洞」への立ち入りを命じ、高純度の「緋色鉱髄」の採掘を続けさせている。
この採掘区はかつて不明な理由で封鎖され、元の名称すら記録から抹消された。代わりに残ったのは、素っ気なく曖昧な「未採掘の鉱洞」という呼び名だけだった。
鉱員たちの間でささやかれる噂によれば、そこには大量の緋色鉱髄が眠るとともに、異常なまでに危険な夢世界が立ち込めているという。棲みつく怪物はすでに恐るべき異変を遂げ、属性を操る力さえ得ているとも……
変異カニクモ群
幻禍の発生後、高原の生態系は急速に悪化した。元は湿地や浅瀬に棲んでいたカニクモは生息地を追われ、あてのない移動を始めた。
硬い鰲(はさみ)で岩盤を掘り進み、鉱脈や裂け目をたどって地中深くへ潜っていく。入り組んだ暗い坑道をさまよいながら、甲殻と鰲爪で生き延びる道を切り開いている。
灼けるように赤い甲殻を持ち、鰲爪を瞬時に高温化させて獲物に爆発的な一撃を放つ個体もいれば、岩盤と一体化するように共生し、鉱石さながらの硬い甲殻を持つ個体もいる。
さらに極端な個体では鰲爪が完全に変異し、鋭い螯刺(がいし)と化している。それらは我が物顔で坑道を占拠し、もはや道を避けることはなく、道の方がそこで途切れることになる。
未採掘の鉱洞が再び開放されたことで、カニクモたちは再び坑道内で活発に活動するようになった。彼らにとって、この地に足を踏み入れる生物は、すべて縄張りに侵入した獲物に過ぎない。
捕食カニクモ
シスレザー鉱洞の奥に棲みつく変異カニクモは、両生的な特徴を完全に失っている。代わりに備えるのは、岩盤をたやすく引き裂く鰲刺だ。
捕食カニクモは坑道の合流点に長く居座り、いかなる生物も眼中にない。黒磊兵団はこれまで幾度も精鋭部隊を編成してこの脅威の排除を試みたが、その都度みじめな撤退に終わっている。公国自慢の盾も刃も、この個体の前では鉱滓のように砕け散る。坑道に残るのは、折れた武器と痛々しい爪痕だけだ。
その甲殻には目を引く鮮やかな黄色の縞模様が刻まれ、薄暗い坑内灯の下では、侵入者への最後の警告のように浮かび上がる。黒磊兵団の兵士にとって、間近まで迫ってこの甲殻の模様をはっきり見えるということは、たいてい生死の境界をすでに越えてしまったことを意味する。